キャリアコンサルタント試験の実技面接(ロープレ)対策で、多くの人が「とにかく数をこなして慣れよう!」と考えがちです。しかし、残念ながら、ただ闇雲に練習するだけでは、なかなか合格に近づけません。
「何回やっても、なんだかしっくりこない…」
そう感じたことはありませんか?
この記事では、なぜ「数をこなすだけ」では非効率なのか、そして、効率よく合格するために意識すべき大切な考え方について、僕自身の経験をもとに解説していきます。
1年間で100回以上、キャリコンロープレ試験対策を実施しています。また実務では人材紹介業に従事しており、多くの求職者の方のキャリア支援を行って参りました。これまでに培ってきたノウハウを活用しつつ、常により良い対策を提供できるよう邁進中です。 (キャリアコンサルタント試験/キャリ協 学科・実技共に一発合格、オールA判定)
【結論】合格への最短ルートは「出題範囲の理解」と「目標のある練習」

結論からお伝えします。ロープレ試験で合格を掴むためには、以下の2つのポイントを意識することが非常に重要です。
1. 評価されるポイント(=出題範囲)をしっかり理解すること
2. 練習ごとに「目標」を持ち、振り返りを行うこと
「とにかく回数をこなす」のではなく、「評価される行動を意識した質の高い練習」を積み重ねることが、合格への一番の近道です。
なぜ「とにかく練習」では合格に近づけないのか?

ロープレは、実際にやってみないと分からない部分があるのは事実です。しかし、目標もなく、ただ繰り返すだけの練習では、どうしても成長が鈍化してしまいます。
その主な理由は以下の2つです。
✅何が良くて、何が改善点なのかが分からない
✅自分の面談を客観的に評価する視点がない
このように、「何が分からないのかも分からないまま」行う練習ほど、非効率なものはありません。逆に、「評価される基準」と「改善すべき視点」を理解していれば、練習の質は格段に向上します。
合格への第一歩は「出題範囲の把握」から始まる
ロープレ試験で評価されるポイントは、実は明確に公開されています。
キャリアコンサルティング協議会(通称:キャリ協)の試験では、合否通知に以下の3つの評価項目が記載されています。

- 態度
- 展開
- 自己評価
つまり、この3つがロープレ試験における“出題範囲”となるわけです。
学生時代のテストを思い出してください。「ここが出るよ」と先生が教えてくれた範囲を中心に勉強したはずです。満遍なく対策するよりも、まずは「出るところ」を重点的に攻略するのが、試験対策の基本です。
①態度:相談者に安心感を与える傾聴姿勢
「態度」とは、ただのマナーや所作ではありません。
試験で見られているのは、相談者の話をどれだけ丁寧に受け止め、反応しているかです。
✅相談者が安心して話せる空気を作れるか?
✅相談者に対して、共感というリアクションを返せているか?
面談の初期段階では、この“受け止め方”がその後の流れを決めるといっても過言じゃありません。
②展開:課題を整理し、話を前に進める力
「展開」では、相談者の話をただ聞いているだけでは評価されません。
求められているのは、相談者の主訴と、そこから見える課題(見立て)を整理しながら面談を前に進めていく力です。
相談者が話したがっていることだけに引っ張られていると、話が堂々巡りになりがち。
そこを、キャリアコンサルタントとしての視点を持ちつつ、自然な流れで問題解決の方向に向けていく。
この展開力は、後半の口頭試問(具体的支援策)でも問われる力です。
③自己評価:自分の面談を冷静に見つめ直す力
ロープレ後の口頭試問で、「できたこと・できなかったこと」をどう振り返るか。
ここで問われているのが「自己評価力」です。
これは「自分うまくやりました!」というアピールではなく、自分の面談を客観的に振り返り、改善点まで語れるかどうかがポイント。
キャリアコンサルタントとして成長していくためには、このように「自分で自分の成長を促せる力」が不可欠なのです。
練習の質を高めるには「目標」と「振り返り」が必要

出題範囲を理解したら、次は、目標を設定して練習をしましょう。
▼よくある非効率な練習の例
- 「何となくロープレをやって終わり」
- 「毎回やってるけど、前回から何が変わったか分からない」
- 「振り返りをしていない or フィードバックをもらっていない」
こういう練習では、回数をこなしても“スキル”として積み上がりません。
筆者の”ロープレ対策”

練習相手にお困りでしたら、お気軽にお声がけください!
▼目標のある練習の具体例(目標設定と振り返りのやり方)
ロープレ練習を“ただの回数稼ぎ”にしないためには、1回ごとに「何を強化するか?」という目標(テーマ)を明確に設定することが大事です。
以下に、評価項目別に分けた練習テーマの例と、その後どう振り返ればいいかのポイントを紹介します。
例①:【態度】を強化したいときの練習テーマ
✅ゆっくりと対話することを意識する
具体的な行動例: 焦らず、落ち着いたトーンで話す。相談者の言葉を注意深く聞き、理解する時間を取る。
振り返りのポイント: 相談者は安心して話せているように見えたか?自分の話すスピードは適切だったか?
✅相談者の発言の後に必ず伝え返しを入れる
具体的な行動例: 相談者の言葉を要約したり、別の言葉で言い換えたりして、「〇〇ということですね」「△△とおっしゃったのですね」などと確認する。
振り返りのポイント: 伝え返しは適切だったか?相談者の理解を深めることができたか?
例②:【展開】を強化したいときの練習テーマ
✅相談者の気持ちを訊く前に、状況をしっかり訊く
具体的な行動例: まず「どのような状況で悩んでいらっしゃるのか」「具体的にどんなことがありましたか」など、状況を詳しく尋ねる。
振り返りのポイント: 状況把握は十分にできたか?相談者の全体像を理解できたか?
✅相談者の状況を訊いた後、必ず気持ちを訊く
具体的な行動例: 状況を把握した後、「その時、どのように感じましたか」「どんな気持ちになりましたか」など、感情面に焦点を当てた質問をする。
振り返りのポイント: 相談者の感情に寄り添えたか?気持ちを引き出すことができたか?
✅具体的な例や理由を訊く
具体的な行動例: 相談者の発言に対して、「具体的にどのようなことですか?」「そう考えた理由は何ですか?」など、深掘りする質問をする。
振り返りのポイント: 表面的な話だけでなく、問題の核心に迫ることができたか?
例③:【自己評価】を強化したいときの練習テーマ
✅今回のロープレで、相談者との関係性構築はできたのか振り返る
振り返りのポイント: 相談者は心を開いて話してくれたか?安心感を与えられたか?信頼関係を築けたか?具体的な場面を思い出しながら評価する。
✅今回のロープレで、相談者の課題把握は適切にできたのか振り返る
振り返りのポイント: 相談者の主訴だけでなく、根本的な課題(見立て)を見つけることができたか?
✅ロープレ後、出来たこと・出来なかったことの理由を的確に述べられるようにする
振り返りのポイント: なぜそれが出来たと捉えたのか、それが出来なかったと捉えたのか、ロープレの内容から、理由を客観的に抜き出すことができたか?
あくまで一例なので、自分の課題に合わせて、目標を決めましょう!
まとめ:ロープレは「戦略的」に取り組めば合格に近づく
キャリコン実技のロープレ対策は、「量」をこなすだけではなく、「質」を高めることを意識するといいと思います。
- 出題範囲(=評価項目)を理解し、
- 目的を持って練習し、
- 振り返りを重ねていく
質の高い練習をして、効率的に成果に結びつけていきましょう。
▼キャリコン試験対策まとめ


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