派遣法『3年ルール』について、簡単な概要と3年後も派遣継続するためには何をすべきか、まとめました。
派遣業界で働いてきた者として、5年以上この法律と向き合ってきました。
個人記事なので、損得勘定抜きでただただ正直に語っていきます。参考になればいいなと思っています。
3年ルールは、今やたくさんのサイトで分かりやすく解説されています。
しかし、法律自体が結構ややこしいので、隅々まで理解するのは結構難しいですよね。
例外があったり、3年超えても働ける方法があったり…。
じゃあ、具体的に自分はどうしたらいいのか、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
- 今の自分の働き方は3年ルールに該当するの?
- 結局、自分にとって3年目はいつなの?
- 自分が今の派遣先で3年を超えて就業するには、どうすれば良いの?
こんな疑問にお答えします。
自分は3年ルールに該当するのか?
こちらの図で確認してみましょう。
[日数限定業務とは]
派遣日数が月 10 日以内なら、自動的に日数限定業務になるものではありません。もともと月10 日を超える業務を複数の人に分割して与え、形だけ 10 日以下にする方法は認めら れません。「繁忙対策として、業務量の多い日のみ派遣社員も業務に従事させるような場合、日 数限定業務に該当しない」(派遣業務取扱要領)と解され、正社員の休日のみ出勤させるのも同様の扱いとなります。
「繁忙対策として、業務量の多い日のみ派遣社員も業務に従事させるような場合、日数限定業務に該当しない」と解され、正社員の休日のみ出勤させるのも同様の扱いとなります。
Q3でBに該当した場合、3年ルールが適用されます。
逆に、正社員型派遣や60歳以上の方、産休育休介護休代替やプロジェクト限定の一般派遣社員は、3年ルールは関係ありません。
ここから先の内容は、全て3年ルールが適用される派遣社員の方に向けたものになります。
抵触日とは/3年目の数え方
抵触日とは
抵触日とは、抵触する(法律や規則に触れる)日のことです。
例えば、2021年1月1日を起点とし、ちょうど3年後を抵触とすると、抵触日は2024年1月1日になります。
「2024年1月1日は抵触する日ですよ」という意味なので、2023年12月31日までが有効期限ということです。
契約書に「抵触日:2024年1月1日」と書いてある場合は、2024年1月1日まで在籍できるというわけではなく、「2024年1月1日にはもう居てはダメですよ」というわけです。
3年目の数え方
派遣抵触日となる3年目の数え方は、二本の軸で考えなければなりません。
●派遣先の事業所単位
●派遣社員の個人単位
です。
[事業所とは]
経済活動の場所ごとの単位であって、原則として次の要件を備えているものをいう。
- 経済活動が、単一の経営主体のもとで一定の場所(一区画)を占めて行われていること。
- 物の生産、サービスの提供が、従業者と設備を有して、継続的に行われていること。
引用:統計局(https://www.stat.go.jp/data/jigyou/2001/yougo.html)
例えば、1つの会社でも【本社】、【東京営業所】、【新宿支店】、【静岡工場】、【福岡研究所】と場所で拠点が分かれており、これらはそれぞれ1つの事業所として捉えられます。
よく会社HPに事業所一覧とありますので、それを見てもいいですね。
この二本の軸が同時並行で走っており、どちらか先に3年がくる方が『3年目』に該当します。
【3年ルールの原則を図で解説】
●派遣先の事業所単位
その事業所が、どの派遣会社からであろうが派遣社員を迎え入れた日から3年後は、その事業所全体、もう派遣社員を在籍させてはならない、という決まりです。
ただし、この事業所単位の3年間は、延長が可能です。
派遣先のその事業所において、派遣可能期間が終了する1ヶ月前までに事業所過半数労働組合等から意見聴取の手続きを取れば、更に3年間延長出来ます。
その3年後も同じように手続きすることで、3年ずつ延長が出来るのです。
実際、延長している事業所がほとんどです。
僕は業界経験中に、経験した顧客数から事業所抵触日がくることは何百件とありましたが、延長なしは2,3件程度しか見たことがありません。
冒頭に、『二本の軸で考える』と書きましたが、この事業所単位については、正直そんなに気にしなくていいかなと思います。
なお、正社員型派遣や60歳以上の一般派遣社員、産休育休介護休代替やプロジェクト限定の一般派遣社員は、事業所としての3年カウントは取られません。
3年ルールに関係ないためです。
例えば、2020年10月1日に正社員型派遣が入り、同事業所へ2021年1月1日に30代の代替・限定ではない一般派遣が入った場合、その事業所単位の抵触日は、2024年1月1日になります。
3年ルールが適用される派遣社員が入ってから事業所単位抵触日までのカウントが開始する、というわけです。
●派遣社員の個人単位
派遣社員として、同一組織に3年間勤めることができない、というものです。
3年ルールで抵触するのは9割9分以上がこの個人単位によるものです。
個人単位のことは、今となってはご存知の方はたくさんいらっしゃると思います。
※派遣会社を変えても、同じ派遣社員であれば、抵触日は変わりません。
3年後の選択肢と、今からやっておくべきアクションプラン
3年後の選択肢
3年後も同じ職場で継続したい場合は、今の2択です。
① 派遣会社の無期雇用派遣社員になる
② 派遣先の直接雇用になる
これらは『抜け道』と紹介されるケースもありますが、全く違法ではありません。
ちなみに同じ職場で継続しなくても良いという場合は、派遣先を変える、転職する、という選択になりますね。
3年後継続したい場合、今からやっておくべきアクションプラン
①派遣会社の正社員型派遣社員になる を選択する場合
これを成立させるための条件は、
- 派遣会社に正社員型派遣に切り替える制度があること
- 派遣先が3年後も契約更新したいと希望すること
- 派遣会社も正社員型派遣に切り替えてもいいと判断すること
【アクションプラン】
・正社員型派遣への切替制度があるか、今の派遣会社に確認する
・派遣先からの評価を上げる努力をする
・派遣元からの印象を下げないよう気をつける
正社員型派遣への転向(無期雇用化)を促進している派遣会社もあれば、無期雇用化そのものに取り組まない派遣会社もあります。
なので、今所属している派遣元に、無期雇用化の制度があるかどうか、営業担当に聞くなどして確認してみましょう。
また、3年経過しても更新したいと派遣先に思ってもらわなければなりません。
よって、派遣先から高く評価されることを意識して今のうちから努力していきましょう。
そして、派遣元となる派遣会社からも、一定以上の評価を得ておくこともかなり重要です。
無期雇用化するということは、派遣会社にとってメリットもデメリットもあります。
派遣社員を無期雇用化する際の、
メリット:3年以降も継続出来ることで利益減を回避出来る。優秀な派遣社員を囲い込むことが出来る。
デメリット:今の派遣先との契約が終了しその後派遣就業しなくても、雇用が継続すること。極論、次の派遣先が決まらなくても雇用があるため、給与を支払わなければならない。
デメリットを見て分かるように、派遣会社も無期雇用化するときは慎重です。
派遣会社はリスクを最小限に抑えるために、
- 今の派遣先で長く継続してくれる
- 今の派遣先がもし終了しても次の派遣先を想定できるスキルを持っている
- どこで派遣就業しても真面目に勤務してくれ、労働問題を起こさず、協力的である
という観点で、無期雇用化するか否かを判断しています。
派遣元に媚を売る必要はありませんが、必要以上に文句を言ったり問題を起こす行動をとることはやめておきましょう。
今の派遣会社がどうしても気に入らない、ということであれば、無理することはないので、派遣会社を変えることを強くお勧めします。
②派遣先の直接雇用になる を選択する場合
これを成立させるための条件は、
- 派遣先に直接雇用切替の制度や可能性があること
- 派遣先があなたのことを、必要な戦力・欲しい人材と思ってくれること
【アクションプラン】
・派遣先に直接雇用化の実績や可能性があるか、派遣会社を通じて確認する
・派遣先の正社員・契約社員と遜色のない働きが出来ているか、客観的な評価を得る
派遣先も会社によって制度が異なるため、派遣社員を直接雇用できるかどうかも違ってきます。
今の派遣先の直接雇用になりたい場合は、この会社が派遣を直接雇用に切り替えることが出来るのか、先に知っておきましょう。
確認は直接派遣先に聞くのはNGです。
派遣でいる以上、今の雇用主は派遣会社なので、派遣会社から聞いてもらうようにしましょう。
派遣契約や人材紹介契約など、契約ごとに関わる部分なので、必ず会社間で確認です。
確認してもらう内容は、過去切り替わった実績があるか、実績があればどのくらいの人数がどんな人が切り替わったのか、実績がなければ今後可能性はあるのか、です。
また、その直接雇用は、正社員なのか契約社員なのか、ちゃんと確認しましょう。
契約社員の場合は有期雇用(結局、期間が決まっている)ケースも多いですし、契約社員から正社員になれることもありますがその相当壁が高いケースもあります。
自身の希望に合う雇用形態なのか、知っておきましょう。
ついでに、可能性を高めるためには何をしたらいいか、派遣会社にアドバイスももらいましょう。
自分が希望するような直接雇用切替の可能性があるなら、あとは職場で評価を上げる実践です。
すでに、
「私は職場の正社員と同じくらい仕事してます」
「契約社員より自分の方が仕事してるよ」
と思われている方もいると思います。
それが事実であればその調子で努力することで、ゆくゆく直接雇用化の話が出てくると思います。
全く話が出てくる気配がない場合は、自己評価と派遣先評価に乖離があることがほとんどです。
そういうときは、派遣会社の営業担当を介して派遣先に、自分の何が足りていないのか、聞いてみましょう。
業務成果に違いがあるのかもしれないですし、協力姿勢、マナー、就業態度、勤怠など、業務以外のところで低評価を受けているのかもしれません。
でも、客観的な評価があって初めて足りない部分がわかるので、勇気を出して確認し、より良くしていく行動が取れる非常によいと思います。
そのような姿勢もまた、高く評価されることの一つだと思います。
評価を上げるための方法として、以下の記事「派遣切りされない方法」にも重要な要素を記載しています。
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